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福島市から新潟市へ一家避難した子育て主夫の些細な気づき


by zaoribiyori

母親だってつらいよ ~長く険しい卒乳への道~

 乳離れのタイミングは個人差があって、ほとんどのケースが1歳前後から2歳前後の間と言われているようだ。極端な例では、生後数ヵ月で終わる子から5~6歳まで引っ張る子までいろいろいる。多くのお母さんが、子どもが1歳半になる頃には「うちの子もそろそろ」と考えているはずだ。

 我が家の場合。1歳7カ月になるが、授乳は続いている。恐らく1歳過ぎから栄養面は食事からで十分摂れているが、今現在乳離れには至っていない。今年の4月から、平日の日中に母親がいなくなる状況になって果たして大丈夫かと心配したが、なんら問題はなかった。その代わり、平日の朝・夜、週末のフルタイムは「メンメ、メンメ(おっぱいのこと)」の連呼になってしまった。母親に甘えられる時間が限られているから、これもしょうがないと思い見守ってきた。その割におっぱいを飲んでいるわけではなく、ただしゃぶっているだけのようで、一番の悩みは噛むこと。妻はこれが痛くて痛くてたまらないらしく、時々泣いたりしている。「もう卒乳してもいいかな」と僕も妻も思っているが、「メンメ」と泣きじゃくる娘に最後は根負けして授乳しているというのが現状だ。

 3日前の土曜日、自分は一日外出していて、久々に妻と娘2人だけの時間を過ごしてもらった。そして妻と娘にとってのターニングポイントがあったようだ。昼過ぎの授乳時、激痛と言えるほど噛まれた。妻は泣いた。娘はおっぱいをもらえないのとママが泣いているのが絡み合って、大泣き。ついにこの時が来たと妻は決意を固めて娘に、「もうこれで終わりね。最後の最後のメンメね」。妻はこの瞬間、相当に寂しくなったらしい。これまで痛くて心底ブルーになった時は数えきれないが、いざ我が子と授乳という生理的な繋がりが断たれてしまう切なさがあったのだろう。そして娘も言葉は理解できないまでも、何かを察して「うん」と首を縦に振った。娘も覚悟を決めたのだ。その後数時間、娘はメンメをせがむことはなく、おもちゃで遊んだりしながら必死で気を紛らわしている様子だったらしい。エライもんだ。なんか禁煙する人に似てるけど。

 僕は帰宅してこの話を聞いて、男親には介入できない母と子の壮絶で濃密な時間を想像した。それはそれは、大きな出来事だったことだろう。「そうか、ひとつの区切りだな。こうやって少しずつ成長していくんだな。」すると妻が「でもさっきね、ものすごくおっぱいせがまれてね、上げちゃったの。」「えっ?」膝から崩れ落ちた。一体今の話はなんだったんだろう?そして母子の不退転の決意から3日経った現在、授乳は続いている。妻と僕はもちろんだが、もしかしたら娘も卒乳を願っているかもしれない。しかし、その道のりは長く険しい。3人が本当の本当の覚悟を決める時は一体いつになるのだろう。
by zaoribiyori | 2012-08-29 15:14