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福島市から新潟市へ一家避難した子育て主夫の些細な気づき


by zaoribiyori

ようやく30回目、文章を書くということ

 6月から始めた主夫ブログだが、かなりの低頻度投稿により、ようやく30回目を迎えた。特に10月・11月は何かと立て込んで遠ざかってしまった。ありきたりの日記じゃつまらないし、一つ一つに自分なりに重要なテーマ(じゃないのもあるけど)を織り込もうと思っているし、時間を作るのに苦労するという点で、まあマイペースにつらつらと書いてきた。

 そもそもブログを書こうと思った理由は、主夫生活や子育てのドタバタを記録しておきたいということと、もう一つ大きな理由があった。それは文章を書くことを習慣化したいということだった。福島市の出版社にいた時に、日常的に書く文字量はせいぜい1つの記事あたり300~500文字程度。これ以上長くなる原稿は、年に数回あるかライターに委託していた。新潟に来て半年間、林業に関わる人や事業体の取材をして、1記事あたり4000~5000文字の原稿を十数本書いた。編集者というよりライターとしての仕事だったから、とにかく短期間にたくさんの原稿を書いた。こんなに書いたのは初めてだった。文章を書くこと自体は苦じゃなかったし、林業の現場を取材することはとても興味深いものだった。インタビュー取材の面白さに改めて気付かされた。林業は未知の分野だから取材時の質問と応答ではさっぱりわからなかったことが、録音データを起こして文字化していくと、話の裏側までわかってきて不思議な感覚があった。これは、人の話が自分の体の中を通り抜けることで起きる化学変化のようなものだと思っている。それだけインタビューが下手だということでもあるんだけど。
 
 話が逸れるが、お世話になっていた新潟市の出版社「ジョイフルタウン」は、「CAST」というアーティストへのインタビュー誌を半年に1回ペースでかれこれ23年も続けている。棚橋社長と林業取材でもお世話になった笹川さんのほぼ2人で、1誌あたり約30人のアーティストをインタビューする。そしてライティングも2人だけ。追い込み時期に笹川さんが2日連続徹夜して3日目に膝が痛くて歩けなくなり病院に行くのを見ていて、この人たち相当にこの仕事が好きなんだなあと思った。棚橋社長曰く「インタビューぐらい面白い仕事はない。その人の人生を体現できる。編集者冥利に尽きる」らしい。

 自分の文章がいかに下手かは自分がよくわかっている。その下手さ加減を常に知っておくには、常に書いて確認していなければならない。少しでも表現力を身に付けたいと思うならば、やはり書いて養うしかない。「暮しの手帖」編集長の松浦弥太郎氏によれば、うまい文章は誰でも書けるらしい。誤字脱字はともかく、勉強さえすれば語法文法を間違わずに誰でも書ける。でもそれではつまらない。重要なのは、「文章の中に真実と清潔感があるか」と言うことだそうだ。さらにその人なりの癖や熱意や性格やセンスやリズムが文体となって起きてくるものが面白いと僕は思っている。編集者当時、よく原稿を校正された。「なるほど。この表現のほうがわかりやすいな」というのもあれば、「なんで文章のリズムを損ねてまでこんな直しを入れるんだ?」というのまであった。校正してもらうことは本当にありがたいことだけど、「朱入れのための朱入れ」はいつも無視していた。幻冬舎の見城社長は作家の文章にガンガン朱入れすることで有名だけど、それは彼がその作家を知り尽くし読み込んでいるからできること。以来、僕は人の文章を校正する時は、その人の文体に沿いつつ新しい表現の提案をすることにしている。

 あるテーマで書こうと思った時に、その考えだけがはっきりしていても言葉が見つからなければ書けない。だから考えを、良く言えば熟成させる、簡単に言えば放っておく。するとふとした時に言葉が見つかる。決定的な言葉が見つかれば、あとはその「言いたいこと」をどのような構成によって効果的に登場させるか。このへんのことをモヤモヤと考えているのがわりと好きだ。この「決定的な言葉」は、悲しい哉誰にも気づかれていないかも知れないが、自分にとってはようやく見つけた鉱石なのである。僕にとって文章を書くことは下手の横好きバンザイなのである。
by zaoribiyori | 2012-11-28 17:30